最終更新日:2023.8.28
こんにちは!
お盆もあけたというのに
毎日暑いですね~~
残暑というには暑すぎて、もう季節の感覚がよくわからなくなってます....
さて、今日は
久々の『今さら聞けない?!』シリーズ第7弾!
USBやHDMIケーブルから始まり、長らくPCやメディアなどの規格について
お話しさせていただきましたが
今回は少し方向性を変えて
『音声ケーブルの規格と端子』についての話をしたいと思います!
カメラマンの皆様にとって、特にフォトグラファーの皆様にとっては
元々馴染みのなかった音声収録。
しかしここ数年の流れで、映像制作、記録映像、配信などのお仕事をされている方がとても増え
その中で、音声も始められた。という方もとても多いと思います。
すでに、RODEやゼンハイザー、ソニーなどなど
多くのマイクをたくさんの方が使っていらっしゃると思いますが
映像と違い、目では見えない音声の場合
音声が『録れているか』『録れていないか』の判断しかつかない….というカメラマンの方が多いのではないでしょうか?
しかし、放送や映画の現場では『音声さん』というプロフェッショナルがいるわけで、
かなーーーーーり奥が深い世界でもあります。
そんな音声、突き詰めると
映像制作も音声も…とワンマンでの撮影や、少人数での現場では
とても追いつかない状況になってしまうと思います!
ですが!
ちょっとしたポイントだけでも押さえておくだけで
『録れなかった』『ノイズが入っていた』『雑音が気になる』という
状況が少なくなるのも音声です!
そこで、今回は
音質や、ケーブルの性能等の話ではなく
これだけは知っておいて欲しい!
『今さら聞けない』音声ケーブルの規格と端子についてのお話しをできればと思います♪
では早速いきましょう!
*お持ちのマイクを繋ぐケーブルは?ケーブルで違いがあるの?
まずは、お手持ちのマイクやご検討中のマイクが
なにで繋がるものなのか…を理解していきます!
大きく分けて
カメラマンの方が、現場で使うマイクを、収録機器に繋ぐ場合
3種類の方法で繋げているかと思います。
・3.5mmケーブル
・XLRケーブル(キャノンケーブル)
・ケーブルレス(無線)
もちろんこれ以外にもたくさんあり
HDMIで映像と音声を一緒に出力することもありますし
最近では、USBでPCと繋ぐマイクなどもありますが
おそらく、このブログを読んでくださっている方が
現場で使うマイクは、この3種類のどれかで使えるマイクを
お使いもしくはご検討されている方が大半だと思います。
では、それぞれどんなタイプなのでしょうか?
①3.5mmケーブル
オンカメラマイクをはじめ
DSLR機で使うマイクの大半に採用されている3.5mmケーブル。
こういった、カメラのホットシューの上に乗せる
『オンカメラマイク』についているケーブルも、多くの場合は3.5mmケーブルですし
こちらのような、ワイヤレスマイクの受信機とカメラなどの収録機器を繋ぐケーブルも、RODEだけでなく多くのメーカーの商品で3.5mmケーブルが採用されています。
というのも、Canon,Nikon,SONYをはじめ
多くのミラーレス機に搭載されている、音声入力端子が『3.5mmジャック』だからです。
端子自体が小型で、カメラなどの小型機器にも搭載しやすく
ケーブルも細く取り回しがしやすいので、取り扱いやすい一方で
経験がある方も多いかもしれませんが
ケーブルがうまく刺さっておらず、音がちゃんと入らなかったり
ケーブル自体が細くシールドも薄いので、ノイズが乗りやすいというデメリットもあります。
この3.5mmケーブル
実は、種類があるのをご存知でしょうか?
・モノラルミニプラグ(2極)
このように線が1本のみ入っているプラグのケーブルで
モノラル専用になっています。
・ステレオミニプラグ(3極)=TRS
このように、線が2本入っているプラグのケーブルで
一般的な、マイクケーブルとしてよく使われています。
・4極ケーブル=TRRS
このように、線が3本入っているプラグのケーブルで
近年では、スマートフォンやPCに接続するケーブルとして多く採用されています。
5極以上のケーブルも
世の中にはありますが、マイクケーブルとして使われるものとしては
3極のTRSケーブルか、4極のTRRSケーブルのどちらかの場合が大半です。
詳しく説明しだすと、長くなってしまうので割愛いたしますが
カメラやレコーダーに挿す場合→3極のTRSケーブル
スマートフォンやPCに挿す場合→4極のTRRSケーブル
と覚えていただければと思います♪
ちなみに、RODEのケーブルの場合
端子側が
ブラックのもの→3極のTRSケーブル
グレーのもの→4極のTRRSケーブル
となっており、現場で一目でわかるように工夫されています!
②XLRケーブル(キャノンケーブル)
いわゆる本格的な音声収録マイクの定番として採用されている音声ケーブルが
このXLRケーブルで、キャノンケーブルとも呼ばれています。
こういった、いわゆる『音声さん』がよく吊り下げて使っているような
ガンマイクや
こちらのような、ナレーションや楽器のレコーディングに使うようなスタジオマイクなどで、広く定番として使われているのが
XLRケーブルです。
こちらの写真のように、
オス側には、3本のピンが出ており
メス側には、3本のピンが入るように穴が空いているのが特徴です。
端子にロック機構がついていたり
ケーブル自体も太く、しっかりしたシールド加工をしやすいという点からも
ノイズが乗りにくかったり、現場でのトラブルが少ないことで
広く撮影、録音現場では使われているケーブルですが
もう一つ『バランス接続』ができることも、プロの現場で使われている理由です。
このバランス接続については
後ほどご説明いたします!
このXLRケーブルにも2種類あり
いわゆる普通のXLRケーブルと
このケーブルを小型化したミニXLRケーブルとあり、
ブラックマジックデザインなどのカメラでは
このミニXLR端子が搭載されたものもありますので、ご注意ください!
③ケーブルレス(無線)での接続
ここ数年で出てきた接続方法として
ケーブルを介さず、カメラのホットシューにある電子接点で
直接マイクから入った音声を記録する、『無線』方式が注目されています。
こちらのマイクのように、
ホットシューからケーブルを介さず音声データをカメラ内に入れることができるのが、このマイクの特徴ですが
この機能のなにが良いかというと、
単純にケーブルの煩わしさがない。というだけではなく
本来マイクで集音したデータをカメラに入れる場合
デジタル信号を、一度アナログ信号に変え、再度収録機器の中でデジタルに変換しています。
それを、そのままデジタルデータのまま伝送、収録できるため
収録したデータのロスがない。というメリットがあります。
すごいですよね….
とはいえ、現状では
対応しているマイク、カメラ共に機種が少なく
限られたシチュエーションでしか使えないというデメリットがあります。
いかがでしょうか?!
マイクとの接続の種類はなんとなくお分かりいただけたと思いますので
ここから、さらに少し踏み込んだお話しをしていきたいと思います!
*『バランス接続』と『アンバランス接続』聞いたことはあるけど、どう違うの?
先ほど、XLRケーブルのメリットとして
『バランス接続』のお話しを少ししましたが
一度は聞いたことある
『バランス接続』と『アンバランス接続』。
あまりにも馴染みが薄すぎて、なかなか理解が進まない….という方が多いのではないでしょうか?
そこで、今回はなるべく簡単にご説明していければと思います♪
先ほど、XLRケーブルの部分で
中に3本のピンがあるとご説明しました。
そのうち、1番がグラウンド、2番がホット、3番がコールド
というそれぞれの役割を持ったピンになっていて
電流が出ていく時に2番のホットを使い
電流が帰ってくる時に3番のコールドを使います。
この2つを使って電流が行ったり来たりしてオーディオ信号を流すのですが
オーディオ信号は、とっても小さな信号なので、そのままにするとノイズが乗ってしまうことがあります。
それを防ぐために
1番のグラウンドをつかってシールドすることで、バランスを保って通信を行う。
これが、『バランス接続』になります!
バランス接続のケーブルの中でも
XLRケーブルは、
3つの電線を独立して通信させることで、安定した伝送ができるため
長さを伸ばしても、地面に這わせても、ノイズが乗りにくい。というメリットがあります!
一方で、アンバランス接続は
ホットと、グラウンドの2種類のみで通信させる方式で
バランス接続と比べると、ノイズの影響は受けやすくなりますが
コスト面で抑えられるというメリットがあります。
先ほどもご紹介した
3.5mmケーブルの多くは『アンバランス接続』のケーブルとなっており、
どうしてもXLRケーブルよりもノイズが乗りやすくなってしまう理由が
お分かりいただけたと思います!
いかがでしょうか?!
ざっくり、バランス接続の方が、ノイズに強いんだな!とだけでも
覚えていただければと思います!
*ケーブルによって周辺機器も変わってくる!適応したセッティングを!
さて、ここまでケーブルの種類や
それぞれの特徴、メリットデメリットをご紹介してきました。
でも、実際には
単純に、お持ちのカメラにマイクをつけようと思ったら
多くの方の場合、
3.5mmTRSケーブルのマイクのみしか取り付けられないと思います。
でも、ここまで読むと、
バランス接続の方が安心だし、マイクの種類も豊富になるので
XLRケーブルでの接続にもチャレンジしてみたい!という方もいらっしゃるのではないでしょうか??
そこでどういったセッティングが必要なのか
実例を交えてご紹介していきたいと思います!!
①PCMレコーダーで録音する
シネマカメラを除く、多くのミラーレスカメラや一眼レフでは
前述の通り、3.5mmケーブルの接続端子しかありません。
そこで、一番おすすめの方法がPCMレコーダーを使う方法です。
一言で、PCMレコーダーと言っても、さまざま種類がありますが
こちらなどのような4~6チャンネル入力可能な
ハンディーレコーダーを1個持っておくと
撮影現場でも、すっきりシンプルに分かりやすく使えるので、とてもおすすめです。
こういったPCMレコーダーの場合
このように、XLRケーブルが、そのまま刺さるようになっているので
多くのマイクが、そのまま入力可能です。
そして、レコーダー内部のメディアに
様々なフォーマットや、型式で収録することが可能なため
マイクの性能を余すことなく、使えるのもレコーダーを使うメリットです。
また、多くのPCMレコーダーの場合
『ファンタム電源』の出力にも対応しているため、
ファンタム電源で駆動するプロ向けマイクでも、使えるのも嬉しいポイントです!
ただ、撮っている映像と、音声が
別々のファイルになるため、あと編集の際に、
音声と映像を同期させる必要があるのでご注意を!
でも、
昔と違い、映像編集に使うソフトウェア(Adobe PremiereやFinalCut,DaVinci Resolve)などで、簡単に音声の同期はできるようになっているので
よっぽど複雑に、複数のマイクを使った設置や、広いホールなど音の遅延などが出るような環境での撮影などでなければ、映像に乗っている音声と、レコーダーの音声の同期は
ほぼワンクリックでできます!
ちなみに、
こういったコネクターをご用意いただければ
3.5mmで接続するマイクも、レコーダーに集約することができるので
例えば、
Wireless GO IIと、ガンマイクを併用したい!などの場合にも
Wireless GO IIと、オンカメラマイク両方使いたい!という場合にも
レコーダーの接続端子分、収録が可能です。
②専用ハンドルユニットを使う
こういったハンドルユニット型の
インターフェースがあれば
XLRケーブルのマイクの入力を、そのままカメラに入力をすることが可能です。
レコーダーと違い
信号を変換し、カメラ内部の映像にそのまま載せて収録が可能なため
あとから編集する必要がありません。
多くのもので、ファンタム電源やゲインの調節なども可能になっているので
簡易的にシネマカメラと同じようにご使用いただくことが可能になります!
この他にも
様々、配信の場合など方法はありますが
収録の現場でおすすめの方法としては
この2種類を参考にしていただければと思います♪
最後におすすめのXLRケーブルとして
先日RODEより、純正のXLRケーブルが発売されました!
様々なブランドから、XLRケーブル自体は発売されていますが
高品質だけでなく、品質の安定性としても定評があり、放送、映画の現場でも定番の
CANAREのケーブルと、電子機器コネクターのトップブランドであるNeutrikのコネクターを採用した、こちらのケーブルがおすすめです!
もちろん定番の黒もありますが
複数本使った場合に、識別できるようカラフルなラインナップもご用意!
暗くて足をひっかけがちな、スタジオ収録の際などの目標にも人気です。
いかがでしょうか?!
映像と違い、なかなか違いを感じにくい音声の世界ですが
実際に音声のプロの方だと
ケーブルの種類(シールドの違いや、コネクターの違い)などでも、差が出るそうです!
しかし、なかなかそこまで突き詰めるのは
コストの面でも、時間の面でも、難しいのではないでしょうか?
まずは、しっかり自分にあったものを理解し
できる範囲で、『失敗のない』収録ができるよう、ご参考にしていただければと思います♪