最終更新日:2024.2.9
こんにちは!
先日、久々に博物館に行ったのですが、やっぱり楽しいですね!
とはいえ、休日に行ったためすごい人で...全部見終わるのに、すごく時間がかかり疲労感もすごかったです。
人気の展示は、平日に行くべきですね♪
さて、今日は
スタジオと機材のお話をしたいと思います。
撮影に使われる機材は、
どちらも高額で、かつ重たかったり、使い方に作法があったりするものも少なくありません。
そんな中、より安全に、効率的に、機材を使い、カメラマンをサポートすべく
アシスタントさんが、どういった経験をし、どういったことに気をつけて機材を扱っているのか、現場で働いているのか、
皆様にも知っていただきたい(私も勉強したい!)と思い
今回は、代官山スタジオさんにご協力いただき、取材させていただきました!
アシスタント経験がない皆様も、経験しアシスタントを使う側のカメラマンさんにも
ぜひ、知っていただければと思います♪
では早速いきましょう!
*代官山スタジオさんとは
都内にある、撮影レンタルスタジオの中でも、幅広いスタジオとサービスの提供で
スチール、映像制作問わず、さまざまなジャンルで使われている『代官山スタジオグループ』さんですが、
月島の銀一スタジオショップと同じ倉庫内に代官山スタジオグループのスタジオの一つ、『月島スタジオ』があるので、見たことあるよ~という方も多いのではないでしょうか?
実は、月島スタジオの他にも
代官山スタジオ、中目黒スタジオ、スタジオスタンダード(ハウススタジオ)を運営されているだけではなく
ロケーションサービスや、デジタルサービス
さらには、飲食店の経営などもされているんです!
そんな代官山スタジオさんですが
『スタッフの育成』にとても力を入れていらっしゃるスタジオさんでもあります。
現在(2024年1月現在)、約50名ほどいらっしゃるアシスタントさんは
みなさん、独自のカリキュラムを経て、ステップアップしていくシステムで勤務されているそうです。
そこで、今回は、
そのカリキュラムでどういった経験を積んでいるのか、実際の機材の扱い方や、ご質問の多い機材のセッティング方法などをご紹介していきます!
今回は、株式会社ユーアール代官山スタジオ スタジオ事業部の伊藤さんと
代官山スタジオさんでアシスタントをされている、濱原さんと植村さんに、お話をお伺いしました。
*メインアシスタントまでの道のり!独自カリキュラムでしっかり学ぶ。
代官山スタジオさんでは
アシスタントとして入社後、独自に決められたカリキュラムを経て、実際に現場で撮影のサポートを行う『メインアシスタント』になるそうです。
まず、入社すると
挨拶や、掃除の仕方を覚える他、『機材の場所』を覚えるそうです。
そして最初に
指定された機材を、指定された時間内に持ってきて、片付ける。というテストを合格しなければ
実際に機材には触らせてもらえないとのこと!
このテストに合格して、やっと現場にも入らせてもらえるようになるとのこと!
驚きです。
そこから、2ヶ月程度かけ
・簡単な機材のテスト
ボックスの組み立て方や、ストロボの接続の仕方など
・簡単な技術のテスト
直トレや提灯を、制限時間内につくる
を行い、合格するまで何度も行うそうです。
でも、ここからも長い道のりです。
全部で11科目決められたカリキュラムがあり
バック飛ばしや、傘トレなどちょっと複雑な機材セッティングなど
決められたライティングセットを組むテストに合格し、やっとサブアシスタントに昇格できます!
もちろん、機材を正しく使い、正確に、早く行うことも重要ですが
実際にこのカリキュラムでは、二人一組になり
コンビネーションを考えたり、『人を使う』『知らない人に指示を出す』ということも同時に学んでいくそうです。
そして、このカリキュラムに合格すると
最後『メインアシスタント』になるための、準備に入っていきます。
このカリキュラムでは
現場で、一番上として指示が出せるように、自分で考えて動く訓練をしていきます。
実際のテストでは
カメラマン役の試験官が
撮影のイメージだけを伝え、そのセットを組んでいくテストを行い
合格すると、メインアシスタントへなれるそうです。
なんと、ここまでを1年間の間に終わらせることを目標に習得していくとのこと!
しかも、これはベースのスタジオ研修だけの話で
それ以外にも、
ロケアシになるためのカリキュラムや、ムービー撮影におけるカリキュラム等もあるとのことで
最初の1年、アシスタントさんは、とても大変な思いをするそうです。
ですが、実際にこちらのカリキュラムを経験した
濱原さんや、植村さんのお話を聞いていると
確かに大変ではあったものの、日々に自分でできることが増えていく喜びもあり
また、アシスタントを卒業し、自分がカメラマンになった時にも
必ず役に立つ経験だからこそ、充実した日々だったと思える。と、おっしゃっていたのが印象的です。
代官山スタジオさんでは
『安全』『確実』『スピード』を、モットーにお仕事を進めているそうで、
しっかり学び、一個一個身につけていくことで
事故もなく、スピーディーに、撮影のお手伝いをできるようになる。という明確な目標が
しっかりアシスタントさん一人一人に伝わっているのが、よくわかりました。
*スタンドの扱いも『安全』『確実』『スピード』で!
さて、ここからは
実際にアシスタントさんが、どう機材を扱っているのか、気になるポイントをお聞きしていきたいと思います。
機材の使い方などは、
出身のスタジオや師匠さんなどによって『流派』のごとく、様々ルールがあると思います。
もちろんみなさんの中で、気をつけられているポイントがあれば、それが間違い!というわけではないですが
今回は、代官山さんが『安全』『確実』『スピード』を追い求めるために行っている
機材の使い方の一部をご紹介していきたいと思います。
まず、照明の設置には欠かせない『ライトスタンド』
こういったスタンド、日常的に使われている方も多いと思いますが
何気なく立てていませんか?
このスタンドにも、決められた使い方があり
まず、スタジオなど場所に余裕がある際は
このように、足を支えている部分(赤丸部分)が、
地面と並行になるように設置するのがベースです。
この形が、足が一番広く開脚し、安定している形となります。
ですが、開脚幅が広いため
ロケの場合や、商品撮影で、たくさんのスタンド設置する場合などは
逆に、この広く開いた足に、自分だけでなくアシスタントやクライアントなどが足をひっかけてしまい、事故の原因になることも。
そのため、そういった場合は
このように、つま先を少し入れ、
センターポールが少し地面から浮く程度で、固定するそうです!
なぜ、つま先を入れるかというと
何も基準なしで、開脚幅を狭めてしまうと
センターポールが、地面にあたり、3本足のどれかが浮いてしまう。ということがあるそうです。
忙しない現場で、そういったミスがないよう
共通意識として、この立て方で統一しておくことで、事故の原因を一つでも減らす努力をされているそうです!
ちなみに、ライトスタンドにウエイトをかける際には
スタンドに負荷がかかりすぎないよう、大体4kg程度のウエイトを
このようにかけて使うことが多いそうです。
ウエイトが地面についてしまうと
重さが、スタンドにではなく、地面にかかってしまい、意味がなくなってしまうので
ご注意ください!
次に、センチュリースタンドの使い方です!
照明機材を設置する際だけでなく、フラッグなどの設置や、カポックを挟んだり
アームから様々なものを吊るすのにも使ったり、商品撮影の際にテグスを吊るしたり、
なんとハンガーラックにも使う!とのことで
使用頻度がとても高い、センチュリースタンド。
本体自体も、それなりに重さがあるだけでなく
その強靭なグリップで、ライトスタンドよりも、大きな機材の取り付けを行うことも多いセンチュリースタンドだからこそ
間違った使い方で、事故が起きやすい機材の一つでもあります。
まず、アームの先に機材を取り付ける場合
必ず、『右側にセットして閉める』!
これが鉄則です。
というのも、アームの先に乗った機材の重さが重力で下がる方向と
アームを閉めるハンドルの回す方向が同じでないといけません。
つまり
このように、なっていると
機材が下がる方向が、ハンドルが緩む方向になってしまっているため
しっかり閉めても、機材の重みでだんだんとハンドルが緩んでしまうんです。
この機材の下に、モデルさんや、商品があったら....!!!!
想像しただけでも、鳥肌ですね。
次は、このセンチュリーに機材を取り付けた場合をご紹介していきます。
センチュリーのグリップは、ぐるぐる自由に回るため
好きな角度で、機材が固定できるのも魅力の一つです。
そのため、何気なしに取り付けてしまいがちですが
その後、アンブレラを刺すかもしれない。などの予測をたて
照明機材の方向を決め、アクセサリーをつけたとしても、スタンドに当たらないようにセッティングします。
また、ケーブルを垂らす際にも、そのままケーブルを垂らすのではなく
スタンドに沿うように、垂らすことで、機材にテンションがかからないようにします。
それだけでなく、アシスタントさんの中では
その後、撮影しながら、照明位置を変えるため、スタンドの上げ下げを行うかもしれない。という想定までし、
ケーブルをスタンドに固定する場合は、スタンドの一番上の段で、テープ等で巻いて固定するそうです。
こうすることで、あとからスタンドをあげても、ヘッド側のケーブルが引っ張られることなく、調整が可能です。
言われてみれば、当たり前のことですが、なかなか経験がないと、そこまで気が回らない部分ですよね。
ちなみに、センチュリーに機材を乗せた状態で、スタンドの上げ下げをする場合は
このように、下からアームを抱え込むように支えるそうです。
これにより、機材のバランスが崩れた時も、落下などの事故を防ぐことができます!
ちなみに、センチュリーを使う際
床や、白ホリに傷や汚れをつけないため、代官山スタジオさんでは、
このように、十字に切り込みを入れたテニスボールをはめているそうです。
ただ、このままの状態だと、スタンドを動かした際に、外れてしまうこともあるそうで
このように、その上からシュアーテープで十字に固定し、使っているとのこと!
これも、なかなかスタジオならではのアイディアですね。
センチュリースタンドの場合
開いた際、大きい足の方向に、アームを取り付けるという鉄則がありますが
さらにウエイトをかける場合は、
ライトスタンド同様、地面につかないように、アームと逆側の足の上にかけます。
ただ、これはベースの話であって
センチュリーのように、大きい機材や重い機材を載せる場合は、
足の向き関係なく、重心を下げるようウエイトをたくさんかけていくそうです。
また、スタンドに乗せたらすぐにウエイトをかける、なんなら先にかけておく。という機転も必要とのこと!
また、センチュリーにかかわらず、スタンド関係を使う際
『機材を長く大切に使う工夫』として
すべての段を、なるべく伸ばし切らない。という工夫をしているそうです。
スタンドに機材を乗せ、負荷がかかった際
段をすべて伸ばし切ってしまうと、センターポールの歪みや曲がりに繋がり、消耗が早くなってしまいます。
そのため、段の切り替え部分に、少しポールとポールの重なりがでるように、使うことで
大切な機材を長く、良い状態で使えるそうです!
ぜひ、皆さまもお試しください。
*『枠トレ』『傘トレ』スタジオ基本のディフューザーの作り方を伝授!
さて、ここまではスタンド関係の
アシスタントさんが実践する『安全』な使い方をご紹介してきました。
ここからは、
ご質問の多い、『枠トレ』と『傘トレ』の作り方をご紹介していきます♪
みなさんは、『枠トレ』『傘トレ』をご存知でしょうか?
枠トレとは
こういった、ゲルフレームやフラッグフレームに
こういった、ディフューザーを貼り付けて作る
フレームディフューザーのことです!
最近では、紗幕等で作られた、専用ディフューザーも多く販売されているため
そちらを使用されている。という方も多いかもしれませんが
スタジオでは、使用頻度も高く、
また、ディフューザーで作ることで、トレペ、ユポ、アートレ等使い分けができるため、ディフューズの細かいニュアンスが変えることができる他
他の用途と、トレペ等自体を使い回しすることができるため
スタジオでのディフューザーの超ド定番のアイテムです。
しかし、この枠トレ、
やったことがある方ならご存知だと思いますが、やり方を知らないと結構苦戦するんです!!
そこで、代官山スタジオさん流枠トレの作り方を
特別に伝授!
まず最初に
フレームの側面に、両面テープを貼り付けていきます。
両面テープ自体は、
いわゆる一般的な紙の両面テープより、より粘着度の高い
こちらを使われているそう。
四面すべてに、フレームの内側に合わせ、両面テープを貼ります。
その際、枠よりテープがはみ出てしまっていても問題ありません!
すべて貼り終わったら、粘着保護シールを剥がします。
そして、ユポやアートレであれば、
そのままこの上に転がしていきます!
そして、枠いっぱいまで、転がしたら、両面テープ部分を押さえ、しっかりくっつけます。
最後に、両面テープごと、余ったディフューザー部分をカッターで切っていきます!
これで完成です!!
ユポや、アートレの場合は、ディフューザー自体にハリと厚みがあるので
この方法で作れますが、トレペの場合は、四隅を引っ張りながら貼らないと、シワになってしまうことがあるらしく、すこし手間がかかるとのことです。
ですので、もしこの方法でお使いになる場合は、ユポもしくはアートレがおすすめです♪
次に、『傘トレ』をご紹介していきます。
傘トレとは、照明機材に取り付けたアンブレラに、トレペを囲うように取り付けた状態のものを指します!
こちらも同じく、アンブレラディフューザーをお使いになる方もいらっしゃるかもしれませんが
ぜひ覚えておいて損はない!
トレペで作る、傘トレをご紹介してきます♪
まず最初に、傘トレを取り付けるアンブレラのサイズに合わせ
トレペをひろげます。
ちなみに....
みなさん、トレペって毎回カッターやはさみで切っていませんか?
代官山スタジオさんでは、このようにしているようです!
すごいですよね!!
トレペの先を、足で踏み、良い長さまで引っ張り出したら
少しだけ右手に力を入れて、勢いよく振り上げると、カッターを使わずとも
一瞬で、綺麗に真っ直ぐ切れるようです!!!
このようにして、切ったトレペを
まずはアンブレラよりも大きなサイズになるよう、2枚をセロハンテープ繋ぎ合わせます。
重なり部分は、ディフューズの際に邪魔にならないよう1cm程度で作るそう!
また、この際、全部繋ぎ合わせるのではなく、
半分までで留めるのが重要です!
半分まで、セロハンテープで止めたら
中央部分に、*印になるように、セロハンテープでマークを作ります。
そして、斜め部分の一本を、
そのまま真っ直ぐ、紙の端までセロハンテープで止めます。
そして、端部分を抑えながら、止まっていない紙を持ち上げると....
このように、セロハンテープに沿ってトレペが簡単に切れるんです!!
だから、スタジオでの定番テープであるシュアーテープではなく、わざわざセロハンテープだったんですね....
そのまま中央まで切ると
このような形になるのがお分かりいただけますでしょうか?
ここからは、実際にアンブレラに取り付けていきます。
まずは、滑り止めと、トレペが破れてしまう防止も兼ねて、アンブレラの先に、シュアーテープをつけます。
そして、先に、良い長さに切ったシュアーテープを10枚用意しておきます。
そして、先ほど用意したトペレを
*の中央と、アンブレラの先を合わせるようにかぶせます。
次に、バランスを見ながらトレペを仮止めしていきます。
全部に着くと、正面からみるとこんな感じ
もう傘トレほぼ完成!....じゃないんです。
このように、グルーッと2周、もう一度セロハンテープでアンブレラの縁を止めていきます。
そして、そのセロハンテープに沿ってトレペを切っていきます。
すると
こんなにも綺麗な、傘トレができました!!!
この手を入れている、表面の部分は、完全に閉じてしまうパターンもあるようですが
モノブロックなどの場合
出力を確認したり、操作したりということがあるので、
閉じないパターンも多いとのこと。
かっこいいですね。
なんと、代官山スタジオさんのカリキュラムでは
この傘トレを5分以内で作成するテストもあるそうです...!!
いかがでしたでしょうか?
ほんのちょっとですが、アシスタントさんのお仕事を見て
受け継がれてきた技術と、経験が、様々なところに詰まっているのが
とてもよくお分かりいただけたのではないでしょうか?
もしかすると今回ご紹介したことは
スタジオ出身のカメラマンさんや、師匠についてカメアシをされていた経験がある方からすると
当たり前のことだったかもしれません。
ですが、
自分はわかっていても、手伝ってくれるアシスタントさんや、
時には少ないチームでの撮影の際、スタイリストさんやメイクさんにも手伝ってもらう時など
改めて共通認識として、覚えておくことで、事故やミスのない現場に、より近づく部分があるかもしれません。
また、このブログは
多くの写真学校に通われる生徒さんも見てくださっています。
ぜひ、この機会に『スタジオマン』のお仕事、そして心構えを少しでも感じとっていただければ幸いです!
そして、実は代官山スタジオさんでは
独自にスクールを開催されているのはご存じでしょうか?!
代官山スタジオカレッジ
https://www.daikanyamastudio.jp/college/
実際に、代官山スタジオさんのスタジオを利用して、機材なども触りながら
アシスタントさんが学ぶのと同じようなスタジオの基礎から学べるものから
遠方でも、オンラインでも学べるコース
ポートレートライティングの基礎が学べるコース
レタッチを学べるコースなど
自分に必要なスキルだけを学ぶことも、全体的な基礎から学ぶこともできる
様々なコースを用意してくださっています!
GIN-ICHIスタジオショップでも、様々なセミナーやワークショップは開催していますが
実際に撮影を行う広いスタジオや、環境が整っている代官山スタジオさんでしか
学べないこともたくさんあります!
ぜひ、ご興味がある方は、お問合せください。
もし、いきなりスタジオへの問い合わせがハードルが高いなぁ。と思われたり
自分へのスキルとしてどういったコースがあっているのかなど悩まれたりした際は
お気軽に、スタジオショップにてお問合せいただければと思います♪