【GIN-ICHIスタッフブログVOL.93】今さら聞けない?!規格シリーズ第4弾 メディアを学ぼう!CFカード編



最終更新日:2022.12.23



こんにちは!
もう年の瀬ですねぇ。
海外に行かれる方もいらっしゃるのでしょうか?
出不精の私は、今年も実家でまったりのお正月になりそうです...

さて、今日は
前回に引き続き、メディアの規格ブログ第2弾!今さら聞けない規格シリーズの第4弾!
CFカードシリーズについてのブログです。
CFカードは、デジタル移行後、ハイエンド機を中心に
一眼レフ機の多くで採用されていたので、今までのカメラマン人生何十枚も買ってきた。という方も多いのではないでしょうか?

しかし、現状では
もちろんCFカードを採用している機種もあるものの、多くはCFastやCFexpressなどがメインになってきています。
今回は、そんなCFカードシリーズの歴史から、それぞれの違いや仕様など
一個一個紐解いていければと思います!

では早速いきましょう!




*カメラの歴史はCFカードの歴史?CF(コンパクトフラッシュ)カードについて



CFカードとは、
小型カード型インターフェース、およびその規格による拡張カードで、 1990年代後半から2000年代後半にかけて、フラッシュメモリ型メモリーカードとして民生向け機器で広く使われてきました。
大きさは、42.8 mm(横)×36.4 mm(縦)×3.3 mm(厚み)のType-Iと
厚みのみが違う5mm厚のType-IIの2種類ありますが、
一般的に取り扱われているCFは、Type-Iのみです。
実は、CF規格は1994年にサンディスクによって開発されたため、「コンパクトフラッシュ」という名称は、サンディスクの登録商標です。 そのため他のメーカーは商標の使用を避けるため「CFカード」や
「CF」といった名称を用いることが多いです。




・UDMA対応マーク(ウルトラダイレクトメモリアクセス)





UDMA(Ultra Direct Memory Access)とは、
コンパクトフラッシュカードからコンピュータへファイルを転送する際の最高バス速度を表しています。
UDMA1では16.7MB/s、最高速のUDMA7では167MB/sと10倍以上の速度に対応しています。

UDMAは、IDEの拡張仕様Ultra ATAで導入されたIDEインターフェイスの転送方式....
というと、かなり難しく感じるかもしれませんが、簡単にいうと
それまで使われていた、転送方式の中でも高速だった
MDMA(Multiword Direct Memory Access)を、より高速にするため開発された規格で、高速化だけでなく、データ転送時の信頼性を確保する仕組みを、初めて導入された規格でした。



・VPGマーク(Video Performance Guarantee)



Video Performance Guarantee(VPG)は、CFスペック5.0より加えられました。
これは、連続してデータを書き込む最低速度を保証しているものです。 VPGスペックは高性能HDビデオ録画(プロ仕様のデジタル一眼レフとプロ仕様のビデオカメラにおける)の為に付けられました。
これにより、動画を保存する際に画質に問題が起きる障害が起きない事を確認することが可能になります。

VPGのロゴは”クラッパーボード(カチンコ)”マークの中に、保証されている最低書き込み速度の数字が記載されており、現行では3種類あります!

・VPG20→最低20MB/s
・VPG65→最低65MB/s
・VPG400→最低400MB/s

いかがでしょうか?
メディアの中では規格が少し古めということもあり
結構シンプルなCFカード。
さて、ここからちょっとずつ新しくなっていきます!




*CFカードと形が似ているCFastってなに?





CFastカードは、2008年に追加された規格で
カード自体のサイズや形状は従来のCFカードと同じですが、中身は全くの別物です!
どのように違うかというと、データ転送方式が違うのです。
CFカードはパラレル転送方式で、CFastカードはシリアル転送方式を取っています。
どゆこと?と思われると思うので まずは、簡単な図をご覧ください。





直列/並列とあるようにデータ転送の方式が全く違います。
シリアル(直列)は、1つずつ順番にデータを送る方式に対して
パラレル(並列)は、1度にすべてのデータを転送する方式です。
あれ?パラレルの方が同時にデータ送るから速いんじゃないの?と思われる方もいるかもしれません。
パラレル方式の場合、高速化・ケーブルを長尺化するにつれて、同時にデータを転送しようとすると、各レーンの同期にズレが生じ始めました。
このため、パラレル通信の開発は打ち止めになり、代わりに速度面を改善したUSBやPCIeなどの高速シリアル通信を搭載したパソコンなどの機器が普及しました。
それに合わせ、メディア側も、パラレル式からシリアル式に移行した。というのが
CFastの開発の歴史です。

ちなみに、上記の例でも掲載しているメディアに記載された
『CFast 2.0』の記載を気にされたことがありますでしょうか?





実は、CFastには1.0と2.0があります。
当初のCFast 1.0規格ではSATA-IIを用いて最高300MB/s(メガバイト毎秒)での通信可能で、
CFast 2.0はSATA-IIIインターフェースに対応しており、最大600MB/sの転送スピードが利用できます。
そのため、ハイエンドカメラでの写真撮影やビデオカメラでの4K動画の記録に適しています。




このように、CFカードから格段に性能がアップしたCFastカードですが、
価格が高く、市場での普及、参入メーカーの増加が行われる前に、 より小型で、安価なXQDが台頭してきたこともあり
一般的な一眼カメラでの採用が進まなかった....という歴史があります。




*XQDカードへの移行、なぜ?






さて、Nikon D800シリーズを始め
元々CFカードを採用していたカメラのシリーズの多くは、CFカードのあと
XQDカードを採用する機種が多く発売されました。

XQDフォーマットは、まず2010年11月にサンディスク、ソニー、ニコンにより発表され
直後に、コンパクトフラッシュ協会に取り上げられました。
データ転送インターフェースには、PCI Express(PC用データ送信規格)を使用してます。
ご覧の通り、サイズなども、今までのCFシリーズとCFカードやCFastカードとの互換性はありません。

しかし、CFastから、XQDに変わってきた時代は
カメラの進歩も激動の時代で、カメラの高画素化、4K対応の技術進歩があり
急激に、メディアに対する必要スペックも上がっていきました。
そのため、最新技術を搭載し、書き込み速度の上限がより解放された、CFexpressへの移行も早かった....という歴史があります。




*ついに登場!CFexpressの種類と違い



CFexpressとはCFカードなどの後継として2017年(超最近!)に登場した規格です。
ここまでご紹介してきたように、
CFシリーズは
色々な歴史を経て、CFastやXQDのように形を変え、引き継がれてきましたが、長い歴史が故、メーカーによって対応機種が別れてしまってきていました。
それを、一本化させるため制定されたのが、CFexpressです!

CFexpressのデータ転送インターフェースは、PCIe 3.0とNVMe 1.2をベースとした規格です。
(PCIeとNVMeについては、別のブログにてご紹介予定!)
Type-A、Type-B、Type-Cと3種類あります。
では、それぞれご紹介していきましょう!


・CFexpress Type A





サイズ:20×28×2.8mm
3種類の中で、最も小さくSDカードよりも小さいです。
2022年12月現在、採用しているカメラは、ほとんどがソニーカメラとなっております。

CFexpressならではの、超高速スピードを担保しつつも
小型ミラーレス機にメディアサイズの負担をかけることなく採用でき、
またSDカードよりも小さいことにより、SDカードとの併用スロットで、カメラボディ本体のスロットサイズの圧迫がなく、使用できます。
ただ、やはりこれだけ小型化された規格の中に、数多くの伝送レーン(端子)、容量を詰め込む必要があるため、各社まだ開発が追いついていない部分もあり
まだまだメディアのブランドや容量の選択肢が少なく、価格帯も高めです。



・CFexpress Type B





サイズ:38.5×29.8×3.8mm XQDカードと同一サイズで、スロットも共通のため混乱しがちですが XQDカードとしては機能しません。XQDカードもCFexpressとしては認識しません。
一部カメラの機種に限りメーカー側のファームウェアアップデートで対応できる場合もありますが、XQD対応カメラで使用する場合は、きちんと確認をされてからのご使用を強くおすすめします。

先ほどもご説明しましたが、各メーカーによるCFastとXQDに2分されていたコンパクトフラッシュの規格も
CFexpress Type-Bの登場でやっと、CFexpressに一本化されたと言えます。

CFexpress Type-Bについては
過去のブログ『【GIN-ICHIスタッフブログVOL.76】CFexpress TypeBの新時代!重要なスペックを押さえよう!
にて 詳しくご紹介しておりますので、ぜひ合わせてこちらをご覧ください!




・CFexpress Type C


サイズ:54×74×4.8mm(大体名刺サイズ)
3種類の中で一番大きい規格になります。
ほぼ、ポータブルSSDのサイズじゃないか!!!
それはさておき
こちらはまだ、製品化されていない物です。
大きさからするにシネマカメラ等に用いられそうな感じですね・・・




*CFexpressのアレコレ。知っておきたい性能と仕様。



さて、CFexpressの種類をご紹介いたしましたが
最初に記述した通り、2017年にできた規格なので、まだまだ新参者のCFexpress。
発表直後から、様々なカメラで採用されているため
すでに身近ではあるものの、あまり理解されずに浸透してしまっている節も...

ここでは、新しい規格だからこそ!
使用するカメラマンのみなさまに知っておいていただきたいポイントをご紹介いたします。




・CFexpressメディアにカメラが移行してきた理由は?


前回のメディアブログでも紹介したようにSDカードでも2TBあるじゃん?とか
V90の転送速度で十分じゃないの?と思われる方もいるかもしれません。
しかし、近年のカメラ、特に一眼カメラでの動画撮影機能については、発展目まぐるしく、
ほんの数年前までは数百万のカメラでしか撮影できなかったようなことが、一眼カメラでも撮影できるような時代になりました。
そんな録画媒体の、さらなる高画素化・高速連写化してきたせいで従来のSDカードでは、将来的に対応しきれなくなってきた可能性が出てきたことで、SDカードではなく より高速書き込みに対応できるCFexpressが登場、採用されるようになりました。

CFexpress最大の特徴は、将来を見据えたさらなる「高速化」と「大容量化」です。
高速化に関しては、この規格が策定された際にパソコン由来の規格である、通信プロトコルNVMeに対応した事が大きいです。

高速化によるメリットは、言わずもがなですが
メモリーカードへの記録速度の向上により、
カメラ内バッファへの開放時間が速くなりよりたくさんの写真が撮れるようになったり
より高画質の動画を、長時間記録できるようになったりします。
さらに、PCへの取り込み時間短縮にも繋がるため
高画素・4K8K動画ファイルのPC取り込みへの時間が短縮されます。
ひと昔前と比べると、格段に下がった動画へのハードルは
良くも悪くも社会全体での認識となり、
映像制作への期待値、スピード感は、より高い基準になっています。
そんな中で、メディアによる制限を、より少なくするためにも
高速化は、避けて通れない道と言えます。




・CFexpressってなんで熱くなるの?熱くなっても大丈夫?


CFexpressは、高速書き込みが出来るがゆえにカード本体がものすごく熱くなります。
なぜ熱くなるのでしょうか?
それは、データを高速で書き込んでいるため、常に通電している状態となっているため
熱くなりやすくなっております。
これは高速で書き込みしているCFexpressの現象です。
SDカードやCFカード、XQDカードも熱は生じますがほんのり熱を持つ程度です。
熱くなりすぎると、熱によるカード本体の破損を防ぐためにサーマルスロットリングが
発生し転送速度低下を招きます。
より高速で書き込みができる
CFexpressだからこそ、より熱くなってしまうので
ご使用にあたっては、十分ご注意ください。

さて、いかがでしたでしょうか?
SDカードに続き、最新のカメラでも使用することの多いCFシリーズ。
次回も、メディアブログが続く予定です!
お楽しみに!



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