【GIN-ICHIスタッフブログVOL.97】今さら聞けない?!規格シリーズ第5弾 SSDって奥深い!基礎をしっかり理解編



最終更新日:2023.2.7



こんにちは!

先日、古墳を見にいったのですが 古墳はいいですね....
残されたわずかな情報を元に、当時の文化や生活を想像する良い時間を過ごせました!

さて、本日は、4回にわたり続けてきた
今さら聞けない?!規格シリーズの第5弾!
お待ちかねのSSDについてです!!

最近、映像制作をされる方にとっては、欠かせないメディアとなったSSD。
もちろんポータブルのSSDもありますが、より身近なところでは、
おそらく今みなさまがお使いのPCの多くが、SSD搭載のものをお使いかと思います。

元々は、多くのPCに標準で搭載されているものが、HDDでしたし、
写真家の方をはじめ、クリエーターの方は
データのバックアップや、大きなデータの受け渡しには欠かせなかったHDD。

しかし、近年では
HDDよりも、身近な存在になりつつあるSSDですが
まだ比較的価格も高価で、買いたいと思ってるけど
なにを気にして買えばいいのかわからない?!という方も多いのではないでしょうか?

そこで、今回は
SSDというメディアについて振り返りつつ
スペックの見方、種類、使用するにあたっての注意点までご紹介していければと思います!

では早速いきましょう!




*SSDを使うことのメリット/デメリット



SSD(Solid State Driveの略)は、ハードディスク(HDD)と異なり
半導体を使ったフラッシュメモリにデータを記録するメディアの一つです。

そんなSSDという規格について、もう少し理解を深めるために、
ここで改めてメリット/デメリットについて説明します。

【メリット】
・データの読み込みや書き込み速度が速い
SSDはフラッシュメモリを用いているので、物理的にデータの保管場所を探す必要はありません。読み込みや書き込み速度もハードディスクより高速です。
なので、起動ドライブなどにSSDを使うと、パソコンの起動時間が短くなります。

・衝撃に強い
SSDは磁気ディスクを使っていないため、衝撃にも強くなります。
(もちろん、あくまで強いというだけで、落としたり乱暴に扱ったりすれば壊れる可能性はありますよ!!)
最近では、耐衝撃などを謳っているSSDなども登場しており、原則の注意をして使っていれば故障のリスクは低くなりますので、モバイル環境でノートパソコンを使う際の外部記憶装置として最適なストレージといえるでしょう。

・静音性に優れている
通常、ハードディスクを使用すると磁気ディスクの回転音などが聞こえますが、SSDにはそれがありません。(ちょっと懐かしいですね。)
静音性に優れている点も、モバイル環境で使用する際の大きなアドバンテージになります。

・消費電力が少ない
SSDはHDDと違い、物理的に動かすためのモーターなどが必要ないので、消費電力も少なくて済みます。
据え置き型のHDDドライブなどは、別途電源を用意する必要がありましたが、
SSDであれば、ノートパソコンからUSB経由での電力供給で駆動させても、ハードディスクよりPC本体のバッテリーが長持ちします。

【デメリット】
・容量あたりの価格が高い
SSDのデメリットとしては、ハードディスクに比べて容量あたりの価格が高いことが挙げられます。
もちろん、SSDが市場に登場した15年前後前の当初よりは価格が下がりましたが、ハードディスクではTB単位のドライブでも1万円を切るのに対し、多くのSSDではその2倍以上の高い価格で販売されています。

・大容量SSDの種類が少ない
SSDはハードディスクのように大容量のモデルは少ないです。
2023年現在は、8テラバイト単位のSSDも登場し、数年以内には32TBクラスのSSDが開発されるともいわれていますが、新製品は大量生産されるまで高価格で販売されるので、現実的には気軽に購入できる未来は少し先になるでしょう....

・SSDのフラッシュメモリは劣化する
SSDは書き込み回数が増えると、フラッシュメモリが劣化します。
SSDはハードディスクのように物理的な書き込みはしていませんが、セルへの書き込みは、フラッシュメモリ内の絶縁体を劣化させます。
特にSSDは、HDDと違い、上書き保存できないため、データを一度削除して空き領域にしてからでないと、書き込みができません。
しかも、容量不足の場合、書き込みと削除動作が繰り返されるため、フラッシュメモリの劣化を促進してしまいます。
この劣化がSSDの寿命を縮めることになります。




*SSDの種類って実は色々あるの知ってました...?



一言にSSDと、分類してしまいがちですが、
実はSSDのフォームファクタ(PCパーツの規格)は、おもに「1.8インチ」「2.5インチ」「mSATA」「M.2」の4種類があります。ここでは、各フォームファクタと、採用されているインターフェースについて見ていきましょう。


・1.8インチ


1.8インチは、おもにノートパソコンなどに採用されているSSDのフォームファクタです。「MicroSATA」というインターフェースを持つタイプが多いです。
ユーザーでも交換は不可能ではありませんが、交換を推奨されていることは少ないです。




・2.5インチ


一番スタンダードなSSDのフォームファクタが、2.5インチです!
2.5インチのSSDのインターフェースは、「Serial ATA」が多く流通しています。
こちらも、おもにノートパソコンに採用されているフォームファクタですが、ハードディスクにも同フォームファクタがあるため、ユーザーが構成を選べるBTOパソコンなどでは、起動ディスクをSSDかハードディスクか選べるようになっています。
余談ですが、2013年ごろのMacのノートPCでは、この方式が取られており、あとからHDDからSSDに自分で取り替えることも可能でした。
また、デスクトップパソコンで使う場合は、ハードディスクなどを設置する3.5インチベイに収納できるアダプターをつけて使います。
そのため、内蔵用ドライブとして、たくさんの種類のSSDが発売されています。




・mSATA


mSATAもSSDのフォームファクタです。2.5インチよりこの次にご紹介する、小さなM.2よりも、さらに小さなSSDとなります。
mSATAのインターフェースは文字どおり「mSATA」で、これはSerial ATAフォームファクタの小型版である「Mini SATA」の略となります。
1.8インチのMicroSATAと混同しやすいですが、形状はまったく異なります。
比較的安価で、小型なため、価格帯の低い小型ノートPCなどに使われることが多いです。




・M.2


M.2もSSDのフォームファクタです。
2.5インチのSSDよりも小型なだけでなく、転送速度も速いことが特徴です。
インターフェースは、スタンダードな「Serial ATA」タイプと、「PCIe(PCI Express)」タイプの2種類があります。
PCIeタイプは「NVMe(NVM Express)」という仕組みを使い、SSDの性能を最大限発揮できるよう設計されています。
その性能を利用するため、現在ではデスクトップパソコン用のマザーボードにも、PCIeを使った「M.2 SSDスロット」が用意されている場合もあります。
このスロットがない場合は、Serial ATAに接続して使うことになります。 ポータブルSSDの中は、このM.2のSerial ATAを使用している場合が多いです。
(少数派ですが、NVMe接続を使用し高速伝送を謳っているポータブルSSDもあります)




*SSDのスペック見方・読み方



SSDは、SDカードなどのメディアと違い、多くの場合



このように、商品自体に大きくスペックが書かれていないこともあります。
そのため、購入時に、しっかりとスペックを把握した上で、購入し、使用する必要があるため、きちんとスペックの見方・読み方を把握しておくのをおすすめします!

製品スペックでSSDのスピードを比較する場合、「シーケンシャルアクセス」と「ランダムアクセス」が参考になります。



・シーケンシャルアクセス



※サンディスク エクストリーム プロ ポータブルSSDより引用

シーケンシャルアクセスは、連続したファイルの処理や、大きなサイズのファイルを処理する時に1秒間で処理できる速度を表します。




・ランダムアクセス



※WD_BLACK SN850X NVMe(TM) SSDサイトより引用

ランダムアクセスは、小さいサイズのファイルを処理する時に1秒間で処理できる速度で、この数値が高いほど高速になります。

ただし、これらはあくまでスペック上のスピードであり、ユーザーの使用環境によって異なってきます。また、メーカーによって、スペック自体が公開されていない場合もあります。

ただ、SSDは2023年の現状でお使いになる上で、基本的に速いので、SSD同士のスピード差は、ハードディスクのように体感では比較できないレベルかもしれません。
また、もし、極端に遅く感じるようであれば、SSDの容量不足などの問題で遅くなっている可能性もあります。
あらかじめ、そこは理解した上で、ご使用ください!




*SSDのメモリのタイプによる違い



SSDは、SDカードなどのメディアと違い、多くの場合

先述した、スペックの見方での「シーケンシャルアクセス」と「ランダムアクセス」の他
SSDの性能に大きく関わる部分として、メモリタイプの違いもあります。

SSDに搭載されるNAND型フラッシュメモリは、セルにどれくらいのデータを書き込めるかで種類が変わります。
おもに、「SLC」「MLC」「TLC」「QLC」の4種類があります。

・SLC(シングル・レベル・セル)
SLCでは、1つのセルに1ビットだけ記録します。スピードや耐久性に優れており、サーバーなど安定性を求める場合に選びたいタイプです。

・MLC(マルチ・レベル・セル)
MLCは、1つのセルに2ビットを記録します。価格と性能のコストパフォーマンスが良く、通常に使用する分には、最もおすすめのタイプです。

・TLC(トリプル・レベル・セル)
TLCは、1つのセルに3ビットを記録しています。コストは低めとなりますが、SLCやMLCに比べてスピードや耐久性が落ちています。

・QLC(クアッド・レベル・セル)
QLCは、1つのセルに4ビット記録できますので、大容量のSSDが作れます。しかし、耐久性を犠牲にしているので、おすすめはできません。

この話、ん?じゃぁQLCになったら、同じ容量のSSDでもたくさん書き込めるってこと?
と思いがちなので、もう少し噛み砕いてご説明すると
メモリをパレットだとして、書き込みたいデータを荷物だとします!


もちろんパレットがたくさんあれば、載せられる荷物も増えますが
高価なので、一般的に市場で流通するSSDの中のパレットには、限りがあります。

ただ、このパレットに1個の荷物しか載せられないのか、2つ、3つ、4つ載せられるのか
それが、SLCやQLCの違いです!

1つのパレットに、4つの荷物を載せられると、限られたパレットの数で
たくさんの荷物を保管することができますが



この状態で、下の方に積まれた荷物を出そうと思うと、上の段ボールを取って....
と手間がかかりますよね?これが書き込みスピードに影響します。

さらに、たくさんの荷物を載せることで、パレットにも負担がかかるので
1個しか載せていない時と比べ、パレット自体の寿命も縮まります。

それが、このメモリタイプの違いです!!
ご理解いただけましたでしょうか??


耐久性の話も少し出てきましたが SSDの寿命は、スペック表にある「TBW」や「MTTF」の値が参考になります。
SSDが登場した当初はTBWの値が低かったので、ハードディスクに比べて寿命が短い印象がありました。
しかし、現在では性能が上がっているので、前述した「QLC」のような性能の低いSSDを買わなければ、あまり意識する必要はないかもしれません。

・TBW
TBW(Tera Byte Written)は総書込バイト数のことで、「この数値で示すバイト数まで書き込めます」ということです。
例えば、TBWが300TBであれば、
300TBまでの書き込みしかできないということです。
ですが、1日に200GB書き込みをしても1年で約73TBですから、4年間は持つ計算です。
この容量の書き込みを毎日することはないでしょうから、通常利用であれば、あまり心配しなくていいでしょう。

・MTTF
MTTF(Mean Time To Failure)は、平均故障時間を示しています。
あくまで平均的な数値なので、使用する環境などによって異なりますが、
SSDの寿命の参考になります。
なお、MTTFに関しては、公開されていないケースもあります。




*SSDを使用する上で、分かっておきたいポイント!



保存方式に関しても、HDDとSSDには違いがあります。
例えば、「A」というファイルを上書き保存するとします。
この場合、HDDの場合は、空き領域があっても、「A」が保存されていた領域にデータを上書きします。
ところが、SSDで同様の作業をした場合、「A」が保存されていた領域にデータを上書きせず、別の空き領域に新たにデータを保存します。
つまり、表示画面上は最新版の「A」しか残りませんが、SSD上には元の「A」というファイルも残り続けることになるのがSSDです。
なかなか表現が難しいのですが、SSDの場合フラッシュメモリ内の『セル』は少しずつ消費していく。ということをご理解いただければと思います!

また、SSDは、根本原理がSDカードやUSBメモリなどのフラッシュメモリと同じのため、フラッシュメモリそのものの欠点があり、物理的に記録しているHDDとは違い、記憶が保持される年数は決して永久ではありません。
USBメモリなどを全く通電せずに引き出しの中などに放置しておくと、7年から8年程度で記憶のごく一部から徐々に蒸発するように消えてゆくのと同様に、
SSDもあまりに長年通電せずに放置しておくと、徐々に記憶の一部から蒸発するように消えてゆく、という欠点(宿命)があることは、かならず理解しておいてください。
(最近は5年程度はほぼ大丈夫なように改良されてきています!)
そのため、学術目的などで、大学図書館や美術館のバックヤードのキャビネット内などに保管・放置してデータを完全な状態で10年や20年後のために長期保存する目的ではSSDは使えないため、HDDや、物理的なフィルム記録媒体などを使っている場合が多いです。

特に、電源をOFFにした状態で40℃以上の室内などで放置してしまうと、蒸発が始まる時限が極端に短くなり、わずか数か月程度でデータの一部が消えはじめることもあるので
半年前の撮影データ、予備のポータブルSSDに入れたまんま部屋に放置しているッ!!!という方は、今すぐ一度通電させてあげてください。

小型で、耐久性もあり、スピードも早いSSDは
特に最近、映像制作の現場では、カメラから直接記録したり、撮ったデータを、すぐSSDに保存して、出先でも編集できるようにしたり...と、活用されている方も
かなり多いと思います。

ですが、まだまだHDDが一般にあるというのは
こういった、SSDの宿命がゆえの部分もあるため、膨大な撮影データは
SSDに保存ではなく、HDDを使ったNASなどで、管理されることをおすすめします。

さて、ここでNASの話が出てきました!
データ保存方法に関してお話し始めると、NASとは切っても切り離せません!

しかし、またここからNASのお話しを始めると長くなってしまうので 次回をお楽しみに....!!




→ブログ一覧へ戻る