超初級編音声収録方法!RODEで学ぶ初めてのマイク選び

*なぜ外部マイクが必要なの?

動画も撮れる一眼動画の普及により、
スチルカメラマンがスチルだけでなくムービーも一緒にお仕事の依頼をされる事が増えてきています。
一眼動画を撮影するにあたって、音声はその中で重要な役割を担っていますが、スチルカメラマンは音声の専門ではないので音声に対して少々苦手意識のようなものお持ちではないでしょうか?

映像は素晴らしいものが撮れていても、音声は内蔵マイクでは満足する音が録れず外部マイクを必要とされている方も多いと思います。
良いマイクや必要な機材を揃えていく事で、動画の仕事もスムーズに行う事が出来ますが、
マイクには、形態も様々あり価格も数千円程度のものから数十万円のものまであります。
なかなか迷うポイントではありますが、現場やスタイルに合わせた正しい選択をすることが、重要です!

なぜ外部マイクが必要なのか。
それは「目的の音源」をクリアに録音するためです!
”良い音”を録音するためには、録りたい音声を雑音から切り離すことが重要です。
そして、切り離すためには外部マイクの使用が必須であると言えます。

では初めて外部マイクを選ぶ際、どのようなマイクを使ったら良いのか?
今回は、基礎知識から、各種マイクの特徴を知っていただき、さらにオススメマイクをご紹介していきます!



*用語解説

RODEのカタログを始め、いざマイクを選ぼうと思い、商品のカタログをみると
今まで触れたことのない用語が並び、なかなか比較がしづらいと思います!
そこで、今回は簡単に、必要最低限の用語をご説明いたします。



■周波数特性


どれくらい低い音から高い音まで収音できるか、また、感度がどのように変化するかを表します。
※一般的に人が聞き取れる周波数帯域は、個人差はあるが「20Hz~20kHz」と言われています。
日本語での会話の声は、だいたい125~1500Hzと言われていますので、図を見る際は、そのあたりを比べてみてください!





■指向性、ポーラパターン



マイクには、特定の方向から発生する音を特に集音できるように作られているタイプのものがあります。
どの方向・どの角度の音をはっきりと捉えるか、どの向きに感度が高くどの向きに感度が低いか、という特性を指向性と呼びます。

ポーラパターンはこの指向性を表す図で、マイクの感度がもっとも高い方向を0度とし、周囲360度をグラフにしたもの。
膨らんでいる方向の感度が高いと考えていただければOKです!
指向性にも種類がありますが、動画撮影における指向性は主にこの2つです。



単一指向性・・・



一定の方向に感度が良いタイプ。感度が高い部分を録りたい音に向ければ、不必要な音や環境音を効果的に低減させ録りたい音を録音できる。
単一指向性はさらにカーディオイド、スーパーカーディオイドなど種類が分けられる。
カーディオイドは、マイクの正面からの音に感度が高く、背面からの音には感度が低い。
スーパーカーディオイドも、正面からの音に感度が良いが、カーディオイドに比べて左右からの音に感度が弱く、背面からの音に少し感度が良くなっている。



無指向性・・・



指向性が無いタイプ。360度すべての方向に感度が良いため、環境音も拾いやすいが音を録り逃すことがないので扱いがしやすい。
RODEのラインナップの中ではラベリアマイクなどが無指向性にあたり、インタビュー撮影のときなど、人の顔が横を向いたり動いたりとマイクからずれても音を拾ってくれる。






■ステレオとモノラル



「ステレオのほうが音質が良いからステレオマイクが欲しい」「モノラルは感度が低い」
というイメージをお持ちではありませんか?
ステレオとモノラルは特徴が異なるだけで、必ずしもモノラルが悪いマイクというわけではありません。シチュエーションによって使い分けることが大切です!



ステレオマイク・・・



2個以上のカプセルで収音する。左右で異なる音を収音することができ、指向性もモノラルに比べ幅広いため音に広がり・深みが出る。
そのため演奏会やスタジアムなど、臨場感のある音を録音したいときにおすすめのタイプ。




モノラルマイク・・・



1個のカプセルで収音する。収音部分が1つのため、左右で同じ音を収録できる。
インタビュー録音などはモノラルのマイクで、しゃべっている人を狙うことで芯のある声が録音できる。



■ダイナミックマイクとコンデンサーマイク

マイクはまず、信号を受ける仕組みが異なるダイナミックマイクとコンデンサーマイクの2種類に大きく分けられます。
さらにここから、マイクの形状や指向性のタイプ、ステレオマイクやモノラルマイクなど、特徴的なところで種類が分かれていきます。



ダイナミックマイク・・・


つくりが丈夫なマイクで、ライブやレポートなど激しく動くシチュエーションに向いているマイク。
電源も不要。ただしコンデンサーマイクと比べて、感度が低い。



コンデンサーマイク・・・


感度が高いマイクで、スタジオでの録音やドラマ・映画の撮影現場など、より良い音で収音したいシチュエーションに向いているマイク。
感度が良い分振動によるノイズなども拾いやすく電源も必要だが、より感度の高い音を収音できる。




*RODEのマイクラインナップ

動画撮影を行う現場でよく使われるコンデンサーマイクは、さらに形状や特徴が異なる多種類に分けられます。
それぞれ得意なこと、苦手なことがあるので、自分の撮影スタイルや、シチュエーションに合わせてお選びください♪



オンカメラマイク・・・



殆どの一眼カメラの上にマウントできるタイプのマイク。
大きさはさまざまだが、RODEのオンカメラマイクはシューマウントが付いており、コールドシューのある一眼カメラなどであれば別途アクセサリーを購入することなく取り付けることができる。
扱いがシンプルで、最初の導入には使いやすいマイク。



ガンマイク・・・



棒のような形状で、様々なアクセサリーを併用できることが特徴。
カメラの上に取り付けるだけでなく、ブームポールに取り付けて現場に合わせたセッティングを組んだりと、絵と音を分けたワンステップ上の撮影が可能になる。



ワイヤレスマイク、ラベリアマイク・・・



送信機と受信機のセットで、送信機を被写体に取り付け、受信機をカメラやレコーダーに繋げて録音する。
送信機にはラベリアマイクを繋げて使用することが多い。
ラベリアマイクは収音部分が非常に小さく、被写体に接近して録音できる。また、小型のため隠しマイクとしての使用も便利。



スマートフォンマイク・・・


スマートフォン用に特化したマイクで、ラベリアタイプやLightning端子に差し込む小型マイクなどさまざまなタイプのものがある。



*マイクの電源の種類



では実際に、自分にはこのマイクが良い!と思い買ってみて、
あれ?電源がつかない?持っている一眼レフカメラにマイクを繋げられない!?
といった事態が発生してしまうかもしれません。
そんなトラブルを防ぐために、マイクの電源と出力コネクタの種類にふれていきます。

前回ご説明した、動画撮影で主に使われるコンデンサーマイクには、必ず電源が必要になります。
そしてマイクの電源は、主に3種類に分かれます。

オンカメラマイクも、マイクによって電源のタイプが異なりますので、購入の前に必ず確認しましょう!



プラグインパワー・・・


カメラ側から供給された電源を使い駆動するタイプ。
マイクとカメラをケーブルで繋げれば電源を確保できるので便利だが、機器に依存するので安定性や音質は、他に比べると劣る。
使用予定のカメラがプラグインパワーに対応しているかの確認が必要。



電池内蔵・・・


マイク内の電池や、リチウムイオンバッテリーのパワーを使い駆動するタイプ。
プラグインパワーに比べ、高品質なアンプを使用できるためプラグインパワーより音質は良いとされているが、電源の入れ忘れや電池切れなどへの注意が必要。



ファンタム電源・・・


レコーダーもしくは業務用ビデオカメラなどから電源供給を受け駆動するタイプ。
後述するXLR端子(キャノン式)で接続するため、一眼レフカメラに別途アクセサリーを用意しなければ接続ができない。
48Vが使用される機種が多く、電池内蔵と同じく、より高品質なアンプを使用できるため、プラグインパワーに比べ音質は良いとされている。
ファンタム(ファントム)は「おばけ」という意味で、電気回路が見えない電源のためこう呼ばれているとか…。




*出力コネクタの種類

ご存知の通り外部マイクは、カメラまたはレコーダー等に繋げて録音します。
この際に、よくあるトラブルとして
使用予定のカメラやレコーダーとマイクの端子に互換性がない、ケーブルを延長したらノイズが乗った…などのご相談を多くいただきます。
そういった失敗がないよう、出力コネクタの種類と特徴も理解しておきましょう!


3.5mmミニプラグ・・・


非常に小型で細い端子で、RODEのラインナップだとオンカメラマイクやワイヤレスマイク(受信機)はこの端子のケーブルが付属している。
一眼レフカメラに直接繋げられ、現場でとりまわしもしやすいが、細い分延長などをして床に這わせるとノイズがのりやすくなる可能性がある。



XLR・・・



現場ではキャノン式と呼ばれる端子。 3ピン端子で端子自体のつくりが強く、接続時も抜けづらく安定する。
またケーブルも太く、一般的にバランス接続であることから、撮影現場などで長い距離を地面に這わせて使用してもノイズがのりにくい。
ただその分かさばるため、ワンオペ時などは少々とりまわしがしにくい可能性はある。



*マイクアクセサリー



「外部マイクを使用してもノイズが入ってしまう」「収録の段階でノイズをふせぎたい」…など、音声収録においてノイズは常に悩みの種。
ノイズにもさまざまな種類がありますが、ここでは音声収録の際にノイズを軽減できるアクセサリーをご紹介します。



■ショックマウント



マイクは非常に繊細な機械のため、人の足音による振動、マイクの位置を調整したときの揺れ、カメラ操作時の揺れなどもノイズとして拾います。この揺れを軽減するアクセサリーがショックマウントです。
ショックマウントにマイクをセッティングし、浮かせることで振動をダイレクトに受けないようにします。
RODEのショックマウントは「Rycote(ライコート)」というブランドの製品を採用しています。ライコートはイギリスの老舗ブランドで、1969年に始まりショックマウントや後述するウインドシールドなどのノイズ対策アクセサリーの設計・製造を行なっています。
ライコート製のショックマウントはプラスチック製のため軽く、同時に丈夫なつくりになっています。
RODEのオンカメラマイクにはすべてショックマウントが付いています。





■ウインドシールド



風切り音と呼ばれるノイズを防ぐアクセサリーです。
ウインドシールドは風防、ウインドジャマーなどメーカーによってさまざまな呼び方をされています。
共通して、屋外での風や屋内でのエアコンにより発生するノイズを防ぐ役割を持つアクセサリーのことをいいます。

ウインドシールドは耐風の性能により主に3種類に分けられます。
耐風の性能が強ければもちろんノイズが入るリスクを軽減できますが、マイクの収音部分を覆う形状のため、耐風の性能が高ければ高いほど自然と収録される音もこもるようになります。

もっとも耐風の性能が強いカゴ型はガンマイクでしか使用できない、ちょっと特殊なウインドシールドです。
オンカメラマイクやラベリアマイクにも用意があるウインドシールドにはスポンジ型とファー型の2種類があり、このどちらかを使用することが多いでしょう。

スポンジ型はファー型に比べると雨に強いという特徴があります。
耐風の性能は強力ではありませんが、風速2m程度の弱い風であれば役割を果たします。
ファー型はスポンジ型よりも耐風の性能が高まります。ただ音のこもり具合も増します。風速3m程度と、木の葉が揺れるぐらいの風は防ぐので、風のある屋外での撮影時はおすすめです。





*シチュエーション別おすすめマイク

スタジオショップで特にご相談が多いシチュエーションをピックアップして
それぞれおすすめのマイクをご紹介していきます♪





■インタビューにおすすめのマイク



指向性のあるガンマイクか、口元に近づけることのできる小型のラベリアマイクがおすすめです。


ガンマイクはオンカメラマイクよりも指向性が鋭く、ブームポールで上から吊るす・スタンドに設置するなどで話し手(発信源)に近づけて録音することが可能です。 ふたり程度の対談であれば、ふたりのちょうど真ん中あたりに上から吊るすと録音できます。
ただしブームポールの場合はアシスタントに持ってもらうなど人の手が必要なため、ワンオペの現場では難しくなります。
スタンドに設置する際はセッティングする距離と角度に充分な注意が必要です。
また単一指向性のマイクなので、話している間に顔が横や下に動いたときに録れる音が若干ずれる可能性があります。

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一方ラベリアマイク(ワイヤレスマイクとセットで使うことで、カメラから離れた距離でも収音できます)は収音部分が非常に小さく、口元により近づけることができます。
そのため、ラベリアマイクを取り付けた人の話し声にフォーカスして録音可能です。一方で、たとえば屋外でのインタビューで環境音もある程度録りたいシチュエーションでは、もう一工夫が必要です(後述の街歩き参照)。
ロードのラベリアマイクは無指向性のため、話し手の顔がマイクからちょっと横にずれた場合でも音を拾ってくれます。



■街歩きにおすすめのマイク



街歩きなど、話しながら歩くシチュエーションで音を録りたい場合。
前述したラベリアマイクであれば、声を録音したい対象それぞれにラベリアマイクを仕込むことで話し声を録音できます。
ただし街中や店内などを歩くシチュエーションでラベリアマイクのみだと、人の声だけが際立って収音されている状態になり「絵と合った音」になりません。
そのためもう一台、指向性がありつつも、ラベリアマイクよりも環境音を拾う、ビデオマイクプロプラスなどのオンカメラマイクで周囲の音(通行人の声、足音などの環境音)を録音しておくことをおすすめしています。


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ラベリアマイクで録音した人物の話し声と、オンカメラマイクで録音した周囲の音を編集で結合させることで、より映像にマッチングした豊かな音を演出させることができます。



■演奏会におすすめのマイク



演奏会やスポーツなど、会場全体の音を満遍なく録音したい、奏者にラベリアマイクを仕込めない…などのときは、ステレオマイクがおすすめです。


ステレオビデオマイクXは単一指向性のカプセルが2つ入っており、2つのカプセルで収音することで、収音する範囲がビデオマイクプロプラスより広く、会場の反響音なども録音してくれます。会場の真ん中にセッティングできれば、マイクの前方だけでなく左右の音も拾ってくれるので、広がりを感じられる臨場感ある音を録ることができます。




いかがだったでしょうか?情報として、理解していただけたところも多いのではないでしょうか?
とはいえ、結局どのマイクがいいの?!
と、感じてしまった方もいらっしゃると思います。

様々な種類があるマイクですが
よく言われるのは、『マイクは、レンズと同じ』です。
24-105mmF4 1本だけですべてのお仕事、現場をするのが難しいように
このマイク1本さえあれば何でも録れます!というマイクは、残念ながらありません。
その撮影、現場、セッティングに合わせたマイクを選ぶ必要があります。
また、○社のレンズと、○社のレンズどっちがいい?!という時に、撮れる色だったり、ボケ感だったりに好みがあるように
マイクも撮れる音は、好みの部分もあります。
それは、RODEに限らず、様々なマイクブランドを含めても同じことが言えます。

今回の記事を参考に、選んでいただき
やっぱり買う前には、一回録った音を聞いてみたい!違いを聞き比べてみたい!などがあれば
ぜひお店にお越しください♪
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